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⽵内紙器製作所 専務取締役の堀⽊淳⼀さんにインタビュー②

箱は気持ちを伝えるツールになると気づいた堀⽊さん。今回は「ものづくり」にかける想いを語っていただきました。

サンプルの箱を⼿に取って説明してくださいました。どの箱も触りたくなる質感です。

●紹介でつながっていく

お客さんが喜んでくれる箱作りをしていきたいと考えたときに、東京にある紙製品を扱うお店PAPIER LABO.(パピエラボ)さんとの出会いがありました。

そしてパピエラボさんの紹介、紹介してくれたところの紹介、というふうに仕事が増えていきました。紙は⾃分の判断で買います。お客さんが何を求めているかというのがだいたいわかっていて、単純に⾃分が好きなものを紹介していくとだいたいハマりました。⾃分がいいなと思った紙を先に仕⼊れておき、お客さんに提案します。

そのような中で、新潟のF/style(エフスタイル)さんと出会いました。エフスタイルさんは、責任をもってものづくりの現場をつなげてくれました。きっかけはパピエラボさんですが、早い時点でエフスタイルさんと出会ったことが今の箱作りにつながっています。

●「ものづくり」なめんな

シール印刷時代に印刷会社の営業さんに「仕事をふっているのだから黙ってやれよ」と⾔われたことがあります。製造業が下に⾒られていることに違和感を感じました。ものづくり⾃体がなぜこんなに下の存在にされているのかと感じていました。

⾃分は元々舞台の役者をやっていました。舞台は演者が⼀番偉いわけではありません。⾳響さんや照明さんなど、お客さんも含めてみんな対等です。そのような感覚でいたので、ものを作っている⾃分たちが下に⾒られていることに違和感を感じたのです。

●みんなが対等なものづくり

逆にものづくり側が仕⼊れ先にマウントを取ることもありました。「買ってやっているのだから⽂句を⾔うな」と。⾃分はお客さんも仕⼊れ先も対等だと思っています。材料があって、それを加⼯して、それを使う⼈がいる、どこが⽋けてもダメです。お⾦を出している⽅が偉いとは思いません。

製造業がなぜ下に⾒られているかというと、仕事を取りたいがために単価を下げているからです。⾃分は計算してこのくらいの⾦額じゃないと合わないと伝えます。⾃分としては当たり前のことをこの20年近く当たり前にやってきているだけ、結果としてわかってもらえてきたと思っています。

●いいものを作ってくれるという信頼

製造業が下に⾒られている理由のもう⼀つに、努⼒していないということが挙げられると思います。例えば貼箱で使う糊。この糊が本当に⼀番いいのか?糊は湿度や気温で変わってくるものだから、そこをちゃんとチェックしているのか?など考えるべきことはたくさんあります。もし容器の中が焦げていたら糊の粘度は変わってしまいます。

紙も⽔分量によって扱いが違ってきます。ロールに印刷するときは静電気が起きやすいので印刷がのりにくいなど、仕事には細かいことがたくさんあります。

どうしてもこの会社に出したいです、⾼くてもお願いしたいです、というのが製造業の⼀番やらなくてはいけないところだと思います。安いからではなく。⼿間がかかってもいいものを作ってくれるという信頼が必要です。今は値上がって当たり前の時代です。そのことは仕⼊れ先に⾔うのではなく、お客さんに⾔うことだと思います。

●お客さんとの会話

⾃分から営業には⾏きません。問い合わせが来たのを受け答えします。会社に来ていただいて話すことが多いです。お客さんのところへ⾏ってもやりたいことがまだ明確でないことがあるので、会社でサンプルを⾒ながら話をしてお客さんの頭の中を具現化するお⼿伝いをします。形状や紙について話しながら数や⾦額のことも考えて提案しています。

ここ5年くらいかけて社内で抜き型も作れる環境になり、お客様の要望に幅⽩く応えられるようになっています。


今回は「ものづくり」にかける想いを語っていただきました。
次回インタビュー③では、堀⽊さんの若い頃に打ち込んだ演劇について語ってくださっています。現在の箱作りの「みんなが対等なものづくり」という考え⽅につながる経験についてのお話です。お楽しみに!


⽵内紙器製作所 専務取締役の堀⽊淳⼀さんにインタビュー①
堀⽊さんはたくさんのサンプルの箱を⾒せてくれながらお話ししてくださいました。
⽵内紙器製作所 専務取締役の堀⽊淳⼀さんにインタビュー②
箱は気持ちを伝えるツールになると気づいた堀⽊さん。今回は「ものづくり」にかける想いを語っていただきました。
⽵内紙器製作所 専務取締役の堀⽊淳⼀さんにインタビュー③
箱作りのお仕事をする前に、役者をされていた堀⽊さん。今の考え⽅の原点となる役者時代のお話を聞かせてくださいました。


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